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吉野家が開発した、『トク牛サラシアプレミアム』(以下、『トク牛』)は、2021年10月に特定保健用食品許可を獲得した。特定保健用食品制度は、1980年代の機能性食品の出現から日本が世界に先駆けて取り組んできた「国が効果・効能の表示を許可する」制度であり、『トク牛』は外食チェーンの商品として、日本「初」の特定保健用食品(トクホ)となった。
『トク牛』は、お客様に「ごはんを食べること」を通じて健康を届けたいという吉野家の想いを体現した、血糖値の上昇をゆるやかにする牛丼の具(レンジ対応冷凍食品
135g)だ。機能成分としてサラシアエキスが配合されている。ごはんと具を組み合わせた牛丼の形で効果が確認されており、国が有効性と安全性を厳しく審査してトクホとして“お墨付き”が与えられた信頼性の高い一品である。
2022年7月11日には「吉野家公式通販ショップ」と、北海道、九州、沖縄を除くイオンで『トク牛』の販売が開始した。
『トク牛』の機能成分サラシアエキスは、インドやシンガポールといった南アジアの熱帯地域に生育する植物サラシアから採られる天然成分。サラシアエキスには、糖質の消化酵素α-グルコシダーゼの働きにブレーキをかけ、血中への糖の吸収をブロックする働きがある。かつては王侯貴族がサラシアの木をくりぬいたカップに一晩水を入れておき、その水を飲んで血糖値をコントロールし、健康な食生活に役立てていたという。食事と一緒にサラシアエキスを摂る『トク牛』なら、効果的に血糖値ケアができるのだ。
『トク牛』開発を担当した、グループ商品本部素材開発部の梶原伸子は「血糖値は一定以上にキープされている必要がありますが、上がりすぎると身体に害をもたらします」と話す。なぜなら、食後に血糖の高い状態が続くと、血中の糖と身体の中のタンパク質が結びつく「糖化反応」が生じやすくなるからだ。そして「糖化反応」が強い状態が長く続くことで、動脈硬化やアルツハイマーといった、さまざまな疾病のリスクが高まってしまう。また近年では、糖化によって「黄ぐすみ」などが生じて肌色が悪くなり、美容にも良くないことが指摘されている。
「うまい、やすい、はやい」和食のファストフードとして広まった吉野家の牛丼。同時に、吉野家の親会社である吉野家ホールディングスは長期ビジョンのキーワードとして「ひと・健康・テクノロジー」を掲げ、食事から健康になることを追求してきた。牛丼が健康的な食品であることを証明し、さらに、新たな健康付加価値を与える研究・開発を続けてきたという。
梶原が吉野家ホールディングスに入社したのも、このビジョンに共感したからだ。「ごはんを食べて健康でいられることを目指し、血糖値に着目して健康を叶える商品を作る構想がありました。私自身、就職したばかりの若い頃から、“食事から健康に”と考えていました。多くの人々が使う吉野家でなら、さまざまな提案ができ、食と健康の可能性を広げられると感じたのです」と梶原は語った。
吉野家のトクホ獲得には別の狙いもあった。特定保健用食品許可を審査する消費者委員会や食品安全委員会からの質問に対して科学的根拠に基づく返答をして、長い年月、継続してプロジェクトに取り組むことで企業としての総合力を示し、新しい市場の創造につなげて、顧客への価値提供を実現したいという想いが込められていたのだ。
吉野家は2017年3月6日に外食チェーンとして初めて機能性表示食品を「吉野家公式通販ショップ」で販売している。現在、機能性表示食品には食後血糖値の上昇をゆるやかにする『サラ牛ミニ』、血中中性脂肪の上昇を抑える機能がある『ペプ牛ミニ』、血圧が高めの方に適した機能をもつ『GABA牛ミニ』などがある。これらと特定保健用食品『トク牛』にはどのような違いがあるのだろうか?
「『トク牛』は『サラ牛』と同じサラシアエキスを有効成分としていますが、エキスの量などが異なります。また、『トク牛』は商品そのもので有効性や安全性が確認されている点で異なります」と梶原は説明し、この背景を付け加えた。
「もともと、私たちにはトクホを作りたいという想いがありましたが、その開発や国の審査に年単位での時間がかかることは開発当初から分かっていました。そこで、着手するにあたって私たちのビジョンを示す意味で、まず始めに機能性表示食品から手がけた背景があります」
2021年に『トク牛』が特定保健用食品許可を獲得するまで、申請を行ってから約4年、構想段階からでは8年もの年月がかかった。これまで健康に関わる300を超える食品の開発、研究に携わってきた梶原だが、トクホに取り組むのは初めてだったという。2015年の梶原の入社前からプロジェクトはスタートしており、別の成分を用いて初期の試験などが行われていた。梶原はそこからバトンを引き継ぐ形で開発に取り組んだ。
当初、開発チームが吉野家の牛丼の味を壊さずに充分な有効性を示す成分を探し求めていたとき、サラシアとの出会いがあった。サラシアエキスは微量でよく効き、しかも牛肉の味とよく合ったため、取り入れるのは難しくはなかった。『トク牛』の味づくりは吉野家の生え抜き社員が担い、サラシアを活かしつつも吉野家の伝統を守った味に仕上げた。
「偶然の産物だったのですが、サラシアエキスは牛肉との相性が良かったのです。『トク牛』は脂肪や塩分の量にも配慮しているため、味が物足りなくなっていましたが、サラシアエキスを入れると、不足感が補われることが分かりました。これにより、サラシアエキスと牛肉を一緒に配合する特許を取得しています。」と梶原は語った。
『トク牛』の特定保健用食品許可の審査は2018年6月の申請からはじまり、2021年8月に完了した。特定保健用食品は国が商品そのものでの有効性と安全性を審査する。消費者庁長官から諮問された消費者委員会が有効性を審査し、食品安全委員会が安全性を審査するが、今回、サラシアエキスの有効成分「サラシノール」は新規成分であったため、両委員会で審査を受けることになった。発売前の商品だが、製造から梱包までの一連の流れを3回行い、品質にバラツキがないことを示す必要があるなど、厳しい審査を受けている。牛丼の具という新しい形態で前例がないため、審査では多くの疑問が呈された。このため、あらゆる面から効果の確認ができたともいえる。
この厳しい審査を突破してから、『トク牛』の発売まで時間がかかった点について、梶原は「吉野家にとって初のトクホ商品のため販売体制の構築に時間がかかったことや、コロナ禍の影響で製造工場の稼働がタイトだったこともあり、万全の体勢を取って、今回の発売に至りました」と説明した。
「『トク牛』は、250g以下のごはんなら充分有効性を発揮しますし、牛丼を食べている間、継続してサラシアエキスが入っていくため、とても効果的な摂り方ができます。」と梶原はいう。さらに『トク牛』は牛丼だけでなく、うどんにかけたり、パンに挟んだり、カレーに入れたりする等、さまざまなアレンジメニューでも楽しめるメリットもある。
『トク牛』を冷凍庫に常備していただければ、気軽においしい食事が摂れるだけでなく、食後の血糖値をコントロールすることも可能。普段の生活の中で、より自然な形で食生活を健康な方向にシフトすることができるのだ。
梶原は、単身世帯、共働き世帯が増えている現代に即した、毎日少しずつ健康に近づくための食生活の提案をしたいと語る。
「私には、吉野家をもっと日常食で使ってほしいという想いがあります。例えば、朝ごはんです。朝ごはんではたんぱく質20gを摂取するのが理想とされています。夜に多くのたんぱく質を摂っても運動量が少ない時間帯では脂肪に変わってしまいがちだからです。健康のことを考えると朝のたんぱく質をしっかり摂っていただきたいのですが、日本人の多くが朝ごはんで十分なたんぱく質を摂れていない実情があります。吉野家の朝定食なら、どれを選んでも20g以上は含まれていますから、ぜひ利用していただきたいです。」
朝定食だけでなく、牛肉とお米が同時に摂取できる牛丼もたんぱく質を多く含む。
手軽に食事を摂れる吉野家で、お客様の健康的な食生活をサポートしたいという梶原の想いは、今回『トク牛』がトクホを獲得したことで一歩先へと進んだ。
「それぞれのライフスタイルに合わせて活用できる商品をこれからも開発していきたいです。」
吉野家の挑戦はまだまだ続く。