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早稲田大学 ナノ理工学研究機構
規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門
矢澤一良教授
吉野家ホールディングス 執行役員グループ商品本部 農学博士
辻 智子
左:苗木床 右上:苗木作り 右下:粉末のサラシア
矢澤教授
機能性表示食品の制度が始まって3年経ちましたが、今では多くの企業がこの制度を利用し、2017年6月7日現在で922個の製品が機能性表示食品として届出されています。しかし、牛丼の具での機能性表示は吉野家さんの「サラ牛」が最初で、現在唯一のものですね。初めて聞いたときは「ついに出たか!」と嬉しかったですよ。
辻さん
そうですね。牛丼は一般には、健康とは対極にあるようなイメージがあり、その点でまず、機能性表示食品として開発するのがふさわしいかどうか?を検討しました。
具体的には、牛丼の具の栄養的特徴を詳しく分析し、その結果、たんぱく質、脂肪の量や脂肪酸分析、糖質、塩分など、過剰が気になる成分について、問題ない事を確認しました。
矢澤教授
日本人のエネルギー源である米の炭水化物は、消化されてブドウ糖になりますから摂りすぎると血糖値が上がりすぎるのが問題ですね。しかし、ガッツリと米飯を食べた場合でも、米飯だけ食べるよりも、肉などのたんぱく質、脂質とともに摂取するほうが血糖値の上昇が穏やかになる事が知られています。そういう意味でも牛丼としてご飯を食べるほうが同じ量のご飯を食べても血糖値の上がり方を抑えることが出来ますね。その事は同志社大学のアンチエイジングリサーチセンターの米井教授が論文で発表されていますね。
辻さん
そうです。丼飯=ご飯+具と考えると、具に機能を持たせることで色々な機能性を発揮させることが出来るのです。今回はご飯のでんぷんがおなかで消化されてブドウ糖に分解される時の速度をゆっくりにして、血中のブドウ糖の濃度の上昇を穏やかにする成分を具の中に配合したのです。
矢澤教授
その成分がサラシアという植物の成分のサラシノールですね。
サラシアは、古来スリランカなどのアジア諸国で、お茶などとして伝統的に用いられている食品で、安全性も食経験も豊富ですね。
辻さん
そうですね。少し苦い粉末なのですが、吉野家のおいしい牛丼のタレの味を壊さないように配合するために、生産方法を工夫しました。ですから、通常の吉野家の冷凍牛丼の具と全く味は変わりませんので、安心して楽しんでいただけると思います。
矢澤教授
私の知り合いにも吉野家ファンは多いのですが、血糖値が気になって、食べるのを避けている人もいるようです。そんな人にも是非試してもらいたいですね。血糖値の上昇は、糖尿病の境界領域の人だけでなく、一般の人にとっても肥満や「血管の老化」のリスクになります。また最新の報告では空腹時血糖値が正常なので自分が糖尿病予備軍である事を自覚していない人でも、食後にグルコーススパイクと呼ばれる血糖値の急上昇が見られる「隠れ予備軍」と呼ばれる症状を有する人がいることが分ってきています。
矢辻さん
自覚が無くてケアしないでいると怖い事になりますね。
矢澤教授
そうです。知らないうちに悪化させるリスクを避けるためにも、この商品は活用できますね。今日は牛丼を食べたいなという時、サラ牛を選んで血糖値の上昇を穏やかにし、身体にやさしい食事を心がける。それが将来までずっと健康を維持する秘訣ですね。
辻さん
有難うございます。ただし、もちろんこの製品はサプリメントのように毎日摂取する事を推奨しているものではありません。毎日の食事はなるべく同じものに偏らないように、バラエティーのある食生活をする事をお奨めしたいですね。
矢澤教授
ところで、この商品はお店ではどうすると食べることが出来るのですか?
辻さん
ご存知のとおり外食は機能性表示の対象外です。従って、この冷凍食品の「サラ牛」をこのままお店で提供する事は出来ないのです。
矢澤教授
最後になりますが、摂取エネルギーの適正量は、同じ年齢、性別でも活動度によって異なります。自分にとって適正な炭水化物の摂取量を理解し、1食当たりに食べるご飯の量をイメージできていると良いですね。サラ牛と一緒に食べるからと言って、大量のご飯を一度に食べるような事はやめて欲しいですね。(笑い)
辻さん
そうですね。せっかく身体に優しい食事のために開発したものですから、ぜひ健康管理に役立て欲しいと思います。
矢澤教授
これからも体に優しい商品を作り続けてください。
辻さん
もちろんです。矢澤先生、きょうはどうもありがとうございました。