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吉野家は、5年の年月をかけて開発した『常温保存タイプ 牛丼の具』を新たに発売した。「店舗に来られない方や、 冷凍牛丼を食べられないシーンでも満足できるようなおいしい牛丼をお届けしたい」という想いから開発がスタート。 先に介護用の『レトルトやわらか牛丼の具』を研究開発・販売してから、満を持した形で吉野家店舗の味を再現した『レトルト牛丼の具』の開発に着手。 このたび「吉野家公式通販ショップ」販売を開始することとなった。
『常温保存タイプ 牛丼の具』では、肉処理技術やレトルト技術を大幅に向上させ、たれの風味や肉の食感、ボリューム感といった「吉野家らしさ」を レトルト食品ながら高い精度で再現することに成功。箱入りタイプには紅生姜をブレンドした特製唐辛子を付属させるなどして、味と風味にこだわった。
スタンディングタイプのレトルト(袋状容器)の素材は電子レンジでの調理に対応。 約1分の加熱時間で利用できる手軽さも『常温保存タイプ 牛丼の具』魅力のひとつになっている。
レトルト商品は、NASA(アメリカ航空宇宙局)がアポロ計画で宇宙食に採用したことで一気に注目を集めた、 食中毒を起こす菌がほぼ殺菌された安全な食べ物。常温で保存ができるため保管が容易で、加熱無しでも食べられる手軽さがある。 そのため、自宅だけでなく、キャンプ場など、山でも海でもどこへでも持っていくことができるのが大きなメリット。 『常温保存タイプ 牛丼の具』なら、どこでも気軽に吉野家の味が楽しめるのだ。
商品の開発を担当した、外販事業本部アドバイザーの佐々木透は「レトルトにすることによって、 多くの方々に吉野家の味に接していただける機会が増えたと思っています。常温で運送できるので、山奥や離島にもお届けすることもできるようになりました」と話す。 新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗に来られない人々に「食べる楽しさを届けたい」という吉野家の想いが開発の背中を押した一面もあったという。
介護用の『レトルトやわらか牛丼の具』開発がスタートしたきっかけのひとつは、 介護の現場から「レトルトの牛丼の具がほしい」との声が吉野家に届いていたことにある。 店舗からの持ち帰りは冷めてしまい、冷凍では運搬の途中で溶けるリスクがあった。レトルト食品にすることで、 そういったリスクを回避できるだけでなく、高齢の方が冷凍食品を冷蔵庫に入れてしまう間違えた保管方法による品質低下の不安も大幅に軽減できる。
「レトルトなら常温で安全に美味しく保管できます。冷凍食品を冷蔵で保管したり、冷蔵品を常温に置いたりすると腐敗してしまいますが、 レトルトは常温でも冷蔵でも冷凍でも腐敗せず、いつでも、どんなところでも食べられるのです」と佐々木はいう。
このような背景があり、2016年、企業内起業の公募に佐々木は「吉野家の介護食」のアイデアを提出した。採用となり、さっそく常温介護食の試作を開始している。
介護用の『レトルトやわらか牛丼の具』の開発は、介護という今までとは違うフィールドでの挑戦だったので苦労も多かったが、 想定したよりも早く完成することができた。咀嚼・嚥下機能が低下した高齢の方が食べやすいよう、肉の形を変えたり、とろみを付けたり、減塩したりするなど、 店舗の牛丼との違いが多かったからだと佐々木は話す。
レトルト食品のメリットを最大限に活かす形で、美味しく、楽しく食べられる介護用の「吉野家のやさしいごはん」は実現したが、 万人向けの『レトルト牛丼の具』の開発にはそれ以上に多くの困難が待ち受けていた。
『常温保存タイプ 牛丼の具』の開発に苦労することになった理由はレトルト食品の特徴にある。日本ではレトルト食品というとカレーをイメージする消費者が多い。 事実、日本スタイルのカレーはレトルト食品と相性が良いとされている。「レトルト食品には硬い食材を柔らかくする効果があるため、 カレーやシチューのように角切りの大きな肉が合います。しかし、牛丼の肉は薄切りです。初期の試作では、肉繊維が壊れてボロボロになってしまいました」と佐々木は話す。
肉だけでなく、玉ねぎ等の食感が柔らかくなる、たれの香りが変化するといった問題点も指摘されたという。 しかし、吉野家がレトルト食品を開発するにあたり、他のメニューにする選択はなかったと佐々木はいう。 「確かに看板メニューの牛丼以外のものを作ったら楽になるかもしれないと思うこともありましたが、吉野家がやるなら、 低い山ではなくエベレストから登ってやれ!という想いがありました」と語った。
レトルト食品では、一般的に120度以上の高温で加圧した調理をする。当然、吉野家店舗の牛丼とは調理方法が異なるため、原材料を吟味し、300回を超える試作をくり返し、 肉の食感やたれの風味を“吉野家の味”のゾーンに近づけていくには2年半を超える時間がかかった。
「レトルトにしたときの味の変化の研究を進め、原材料にこだわって食材に手を加えると味は良くなりますが、コスト増に繋がる要因にもなります。 しかし、一般的にあるレトルト食品のマイナスイメージを払拭したいとの想いもあって“吉野家の味”を再現することに注力しました 」と佐々木は話す。
レトルト食品で肉が退色する理由などを突き止めるなど、地道に丁寧に課題を克服。「レトルトで誰もが安心して、どこでも楽しめる牛丼を作りたい」 という関係者一同の想いがひとつになり、ついに商品が完成した。
『常温保存タイプ 牛丼の具』の味は、さらにバージョンアップを続けていく必要があると佐々木はいう。「肉の食感のさらなる向上は、 製法的に不可能領域に近づいているかもしれませんが、店舗、冷凍食品と同じ食感を目指しています。ご意見を頂戴して商品を磨いていくのが吉野家スタイルです」と語った。
吉野家の「うまい、やすい、はやい」を実現した『レトルト牛丼の具』で、どこでも本物の牛丼が楽しめる。 まだ吉野家の牛丼を食べたことがない人が、初めて食べる「入り口」としても求めやすい。
「まず一度、食べてみていただきたいです。とくにレトルト食品のメリットである気軽さ、便利さにマッチする方、肉が少し柔らかいこともあり、 食べやすい牛丼を求めている高齢の方、アレンジメニューを作ってみたい方にまず試してほしいですね」と佐々木は話す。
『常温保存タイプ 牛丼の具』のアレンジメニューの例として、佐々木が紹介したのはチャーハン。卵とごはんを炒めて、 そこに『常温保存タイプ 牛丼の具』を絡めると完成する簡単レシピ。冷凍の場合、簡単に混ぜられないがレトルトなら簡単にほぐれ、馴染ませることができる。 箱入りタイプに付属する紅生姜をブレンドした特製唐辛子を最後に振りかけると味が決まるという。冷やしてそのままそうめんやうどんにかけた冷やしメニューも簡単だ。
前職でフランス料理のシェフをしていた佐々木。自分がプロデュースした「食」を多くの人に食べてもらいたいという夢を持っており、 『常温保存タイプ 牛丼の具』が今後、海外にも広まってほしいと考えている。
レトルト食は、宅急便の冷蔵車や冷凍車が走っていない地域でも常温で安全に運搬できる。そのため、 インフラが整っていない地域での展開が期待できる。牛丼とは異なる形態になる可能性はあっても、 吉野家の牛丼を軸に「食を通じて人を豊かにする」取り組みを進めていきたいと佐々木は語った。